顔面神経麻痺は、顔の筋肉(表情筋と呼ばれています)を動かす運動神経が、何らかの原因で麻痺してしまう病気です。
顔の筋肉(表情筋)を動かす運動神経は脳から直接出ている脳神経の中の7番目にあたり、顔面神経と呼ばれています。
顔面神経麻痺は、この顔面神経の麻痺を起こさせる原因個所によって、大きくは次の二つに分類されます。
一つは、末梢性の顔面神経麻痺です。
顔面神経は耳がついている側頭骨の中と耳下腺の中を通っています。
そのため、側頭骨の中にある内耳・中耳の病気や耳下腺の病気が原因で起こる場合の麻痺がこれにあたります。
このことから、麻痺が起こった時は、原因を特定するために、内耳・中耳や耳下腺の病気の有無などをチェックする必要があり、まずは耳鼻咽喉科を受診するのがよいでしょう。
しかし、末梢性顔面神経麻痺の原因は不明であることが多く、このような場合は「ベル麻痺」と呼ばれています。ベル麻痺の中には、ウイルス(ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルス)が原因となっている例もあります。
二つ目は、脳梗塞など脳の病気に伴って生じる中枢性の顔面神経麻痺です。
この場合は、額の動きや眉毛の動きは左右対称ですが、口周囲が非対称になるなど、口周囲の麻痺だけが目立つことが多いのが特徴です。
またそのほかの麻痺症状(手足の麻痺など)を伴うことがほとんどであることも特徴です。
このような症状がある場合は神経内科・脳神経外科を受診し、診断・治療を受けるのがよいでしょう。
まず、顔面神経麻痺の原因が明らかである場合は、その病気の治療を行うのが先決です。
つまり、顔面神経麻痺を引き起こした中耳炎の治療や手術、腫瘍の切除と顔面神経の再建手術などです。
一方、最も多い顔面神経麻痺で原因不明のベル麻痺と二番目に多いハント症候群に関しては、下記のような治療が行われています。
原因不明のベル麻痺の場合は、薬物療法が中心でます。すなわち、神経の腫れやむくみによる側頭骨内での圧迫を解除するためにステロイド剤の投与がアメリカ神経学会の治療ガイドラインにより推奨されています。
ベル麻痺は治りやすい病気で、軽度の麻痺の場合は二か月程度で完全に治ります。
麻痺が重度な場合でも、80~90%は完治し、治癒率は良好です。
しかし、残りの10~20%の人は何らかの後遺症を残すこともあります。
ハント症候群の場合は、抗ウイルス剤、ステロイド剤を点滴注射または内服する方法がとられています。
抗ウイルス剤は発症早期にのみ効果がありますので、早め(3日以内)の治療開始が重要です。
ハント症候群の場合も麻痺が軽度であれば二か月程度で完全に治ります。
麻痺が重度な場合は、治癒率が50~60%程度とベル麻痺に比べて良くなく、後遺症を残すことも多いようです。
また、併発しためまいなどは二か月程度で改善しますが、聴力障害は完治しない場合もあります。
ベル麻痺・ハント症候群の両方とも、一度障害された神経が障害された部位から徐々に再生してくるため、多くの場合では治療1カ月を過ぎた時期から改善しはじめます。
顔面麻痺は顔面神経麻痺のことであり、表情筋をコントロールする顔面神経が、何らかの原因で麻痺してしまう病気です。
大きく分けると、末梢性と中枢性の二つに分類でき、中枢性の場合はその原因となる病気がはっきりしている場合が多いのですが、末梢性の場合は、不明の場合が多いのが実情です。
顔面神経は側頭骨の中と耳下腺の中を通った後に、表情筋に分布するという経路を通っており、そのいずれの部位での障害でも顔面神経麻痺を起こす原因となり得ます。
側頭骨内にできた腫瘍、急性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、側頭部の骨折・外傷、耳下腺腫瘍などが原因で顔面神経麻痺を伴う場合もありますし、顔面神経そものから腫瘍(顔面神経鞘腫)が発生し、顔面神経麻痺になることもあります。
また、このような病気の手術などの治療により麻痺が生じることもあります。
末梢性の場合の原因として二番目に多いのは水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうをおこすウイルス)であり「ハント症候群」と呼ばれています。
一方、多くの末梢性の場合の原因は不明であり、このような場合は「ベル麻痺」と呼ばれています。
つまり末梢性顔面神経麻痺で最も多いのは実は原因不明のベル麻痺なのです。
ベル麻痺の中には、ウイルス(単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルス)が原因となっている例が数多く確認されています。。
最近の研究では、これらのウイルスがベル麻痺の原因の多くを占めることが分かってきております。
顔面神経麻痺では、リハビリテーションが重要です。その役割は表情筋の筋力を単に回復・増強するということだけでなく、いかにして自然な顔面の表情をつくれるようにするかの役割の方がむしろ重視されていといえます。
顔面神経麻痺で最も多いベル麻痺や次いで多いハント症候群などで重度の顔面神経麻痺を患った場合や聴神経腫瘍手術後などにより顔面神経が切断された場合などでは、リハビリテーションが特に必須となる場面が多いようです。
麻痺が長期化すると、(1)表情筋の廃用性萎縮、(2)神経再生における病的共同運動が起こりますので、これらの状況を前提にしてその改善を図るために主に次のようなリハビリテーションが行われています。
(1)顔面血行の促進、リンパ流の促進、筋力回復、拘縮予防などのための温湿布や用手マッサージ
朝夕蒸しタオルで顔を数分間暖め、皮膚温の低下や循環不全を改善します。
また、麻痺で下垂した皮膚と筋肉を手でもみあげるようにマッサージし、筋の循環、代謝回復を計るとともに顔面対称性の回復を促進させます。
(2)筋肉の廃用萎縮予防のための電気刺激療法
1日2-3回数分程度で、週数回の低周波電気を加え、筋を受動的に収縮させ筋の廃用萎縮を予防します。
(3)表情運動の訓練
上記リハビリテーションとともに、額にしわをよせる、目をつむる、口笛、風船を膨らますなどの訓練を並行して行い、自分の意志によって表情筋をコントロールするための訓練をします。
顔面神経麻痺は、どのような症状で気づくのでしょうか?
ある日突然、飲み物が口からこぼれたり、洗顔の時に目がしみたりすることで、病変に気付きます。
顔の筋肉を動かす神経である顔面神経に障害が起きているため、顔に表情を作ることができなくなります。
また、顔が片方に歪んだり、顔全体が無表情になり能面の様になってしまったりします。
顔面神経麻痺は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害による中枢性のものと、側頭骨の中と耳下腺の中を通っている顔面神経が何らかの障害を受けて発症する末梢性のものに分類され、それぞれの症状としては、次のような特徴があります。
まず、中枢性のものは、末梢性の麻痺に比べて著明な症状的にも麻痺ではないことがあげられます。
額の動き(しわ寄せなど)や眉毛の動きは左右対称ですが、口周囲が非対称になる(話が上手くできない)など、口周囲の麻痺だけが目立つことが多いことと、顔面麻痺以外の麻痺症状(手足の麻痺など)を伴うことがほとんどであることも特徴です。
末梢性の顔面神経麻痺の症状としては、特に多いベル麻痺について見てみると、顔面に次のような症状が特徴的に現れます。
表情が左右対称にならない/麻痺側の額のしわ寄せができない/閉眼が不十分であったり、麻痺側の白眼部分が残ったりする/麻痺側の鼻唇溝が浅くなる/口角が下がったり、健側に引かれたりする/口笛が上手く吹けない、などです。
その他の症状としては、聴覚過敏となったり、味覚障害が起こったり、涙分泌の低下が見られたりします。
顔面神経麻痺の60~70%を占める原因不明の末梢性顔面神経麻痺をベル麻痺と呼んでいます。
ベル麻痺は原因不明とはいえ、何らかの原因によって側頭骨内の顔面神経に炎症やむくみによって起こされた血流障害から麻痺が起こると推定されています。
ベル麻痺の原因はいまだに不明ですが、最近の研究では、単純ヘルペスウイルスⅠ型が顔面神経麻痺の発症に関係していることが疑われている状況です。
単純ヘルペスⅠ型は主に上半身に発症するタイプのヘルペスで、このタイプのウィルスは多くの人が持っています。
治療の方法は、薬物療法が中心になり、神経のむくみによる側頭骨内での圧迫の除去のために、副腎皮質ステロイド薬を投与することが推奨されています(米国神経学会の治療ガイドライン)。
また、前述のように、単純ヘルペスウイルスⅠ型が発症に関係していることが疑われている関係から、抗ウイルス薬を投与することも試みられていますが、まだ追加の臨床試験が必要な段階のようです。
しかしながら、ベル麻痺は治りやすい病気で、麻痺が軽度であれば1~2カ月で完全に治るようです。
麻痺が高度な場合は、治癒率は80~90%程度であり、6~12カ月経過して麻痺が残ったり、病的共同運動、けいれんやひきつれなどの後遺症を残す症例があるようです。
いずれにしろ、早期発見および治療が重要ですので、片側の顔の動きが悪いなどの症状が出た場合は、早めに耳鼻咽喉科専門医の診察を受けることが推奨されています。
小児の顔面神経麻痺の原因については、大人と同じ問題として扱うのは正しくないようです。
小児における顔面神経麻痺の原因を大別すると、(1)先天性(発生異常、外傷など)と(2)後天性(ベル麻痺、外傷、耳炎性、腫瘍性、ハント症候群など)になり、先天性による場合もかなりの高率の発症があったり、後天性における原因頻度も大人のそれとはずいぶん異なるようです。
例えば、ハント症候群は、成人ではベル麻痺にっいで頻度の高い疾患として認知されていますが、小児では比較的少ないという事実もあり、大人の場合と同じに扱えないことの例となります。
また、小児における場合の原因は多岐にわたるため、麻痺の治療には原疾患の正確な同定が必要ですが、幼小児では自覚症状の訴えが困難なこともあり、確定診断に時間を要することが多くなる傾向があります。
さらに、適切な治療を行うためには障害程度の正確な判定が必要ですが、小児では障害
度診断に必要な検査が充分に行えない場合が多く、治療法の選択を困難にさせていることも少なくないようです。
小児の顔面神経麻痺の障害度診断には、通常、神経興奮性検査などの電気診断学的検査法が用いられますが、痛みを伴う電気診断学的検査の行えない例が多く、麻痺発症早期の障害度診断は容易ではないようです。
なお、原疾患を確定するためには、まず麻痺が中枢性か末梢性か、先天性か後天性かの大まかな判断を行うことから始めるのがよいとされています。
顔面神経麻痺の治療は主に薬剤による治療と加えて、リハビリテーションを行う治療とが一般的のようですが、それだけでは十分回復しない場合や効果が期待できない場合には減荷手術などの手術による治療があます。
また、その手術方法は何種類があり、その時の状況に応じて施術されています。
顔面神経減荷手術は、顔面神経の周りの鞘(神経鞘)を開いて神経の圧迫を除去する手術であり、ベル麻痺やハント症候群で完治しやすい麻痺において、一定期間回復せず、麻痺したままとなっている表情筋ににつながっている神経を刺激しても筋肉の反応が見られない時などに施術します。
理想としては、顔面神経麻痺発症後2週間以内に上記のような症状が確認されれば、手術すると良い結果が得られることが多いようですが、2週間という時期はまだ回復をまって保存的治療を継続して行うべき時期と重なるため施術に踏み切るのは難しい判断が必要とされ、全体としてはまだ統一見解がないようです。
顔面神経減荷手術の他には、下記のような手術があり、それぞれ保存的治療だけでは完治が難しい場面で実施されます。
顔面神経麻痺で損傷した神経の修復手術は、外傷などで顔面神経が切れたような場合などに実施され、顔面神経自体を修復する顔面神経縫合術や移植術、顔面交差神経移植手術などが施術されます。
形成外科的手術は、顔の表情筋が元に戻らないままで完治しなかったような場合に実施され、その筋肉を吊り上げたり、吊り下げたりすることで、元の表情に復元する手術が施術されます。
スコア法とは、末梢性顔面神経麻痺の程度の評価や治癒判定において、医師が診察により患者の主として視覚的所見を基に麻痺の程度をスコア化する方法のことです。
スコア化には種々の方法がありますが,日本では一般に40点法やMayの方法が使用されています。
40点法は柳原氏が提唱した顔面神経麻痺の部位評価法で、麻痺に関係する10か所の部位に程度に応じた点数を定め、38点以上は正常で8点以下を完全麻痺とするものです。
Mayの方法も部位の取り方や評価点が異なりますが、40点法と同様の観点から評価するものです。
これらの方法ではスコア化のための機器を必要とせず,簡便に行なえるという利点があ
ります。
しかし逆に、麻痺による運動障害を正確に定義し、かつ記載を統一化することが難しく、スコアが検査者の主観に影響されるという問題ががあります。
一方、麻痺の程度を客観的かつ定量的に評価する方法として、表情筋収縮による活動電位を測定する筋電図検査があります。
検査に使用する筋電図は二つあり、一つは被検者の表情筋の自発的筋収縮に伴う筋電図を積分する積分筋電図であり、もう一つは顔面神経を電気刺激することにより表情筋に誘発される筋活動電位を記録する誘発筋電図です。
ベル麻痺やハント症候群などの末梢性顔面神経麻痺の患者においては、予後や重症度およびその回復度を客観的な数値として表すために,スコア法に加えて筋電図検査による積分筋電図および誘発筋電図を併用するのが望ましいと考えられます。
末梢性顔面神経麻痺の大部分であるベル麻痺やハント症候群では、重症のの場合、発症後6~12か月経過すると、まぶたと口が一緒に動く病的共同運動、痙攣やひきつれなどの後遺症を残すことがあります。
特にハント症候群では重大な後遺症となることが多いようです。
顔面神経麻痺の後遺症の一つである病的共同運動がなぜ発生するかといえば、麻痺した顔面神経はゆっくりと再生していきますが、そのときに一緒に動く障害部位があると、再生過程で過誤再生してしまうことが原因のようです。
すなわち、目と口が一緒に動くことが多いと、目に行くべき神経の枝が間違えて口の方に伸びてしまったり、その逆になったりするわけです。
その結果、目をつぶると口が一緒に動いてしまったり、口を動かすと目が自然に閉じてしまったりするような病的共同運動が発生することになります。
病的共同運動は神経再生の過程でその結果として生じる後遺症なので、治療は困難で、予防が重要になります。
ただし、最近では顔面痙攣の治療に用いるボツリヌス毒素を使用して、症状を一時的に軽減させる方法が報告されています。
顔面神経麻痺のもう一つの後遺症である痙攣とひきつれは、神経と筋肉の過度の緊張により生じます。
表情筋は骨に付着していないため、自分で筋肉を伸ばすということができず、筋肉のひきつれが生じやすい特徴を持っています。
したがって、両手でひきつれた筋肉をストレッチするリハビリテーションがひきつれの改善に有効なことがあります。
ギランバレー症候群とは、風邪や下痢など、ウイルス性の病気を起こした後、2~3週間で手足が急に動かなくなってしまう病気です。
脊髄からの出口付近で、運動末梢神経に炎症が起こって、筋肉の動きが制御できなくなるため、重症な場合は、手足だけでなく、胴体や呼吸筋(横隔膜や肋間筋)の筋肉の動きも悪くなったり、さらには生命が危険にさらされるような重篤な症状に至ることもあります。
また、表情筋を制御する末梢神経が炎症を起こした場合は、顔面神経麻痺を発症することがあります。
このようにギランバレー症候群では、炎症を起こした神経で制御される筋肉は弛緩して、思うように体が動かなくなってしまうということになります。
原因は現在のところ、明確にはなっていませんが、一般にカンピロバクター、サイトメガロウイルス、EBウイルス、マイコプラズマなどのウイルスや細菌の先行感染に引き続いて発症します。
これらのウイルス性および細菌性の感染症によって起こる免疫反応が、誤って自分自身の神経を傷めてしまう自己免疫疾患ではないかと考えられています。
ギランバレー症候群による症状が出始めて数日から数週間で麻痺(顔面神経麻痺を含む)のピークを迎え、数週から半年程度で麻痺は無くなり元どおりになると考えられていますが、後遺症が残る場合もあります。
治療には、病気の起こる仕組みとして自己免疫反応が考えられているため、薬剤としてはステロイドホルモンを使います。
顔面神経麻痺を引き起こす要因は、実にさまざまですが、大きくは、中枢神経である脳や脳幹に何らかの病変が原因となっている場合(中枢性顔面神経麻痺)と、脳から出ている末梢神経になんらかの障害が原因となっている場合(末梢性顔面神経麻痺)とに分けられています。
中枢性の場合は、脳や脳幹の病気、あるいは顔面神経核よりも上方に障害が起こったことが原因する麻痺症状のことをいいます。
大脳の運動野から脳幹の延髄に至り、錐体交差をして反対側に向かう中枢ニューロンが、腫瘍や炎症などの病気により障害を受けた時に発生するものです。
具体的には、脳卒中、脳腫瘍、脳炎などの病気や、そのほかの脳内の病変があると、中枢性顔面神経麻痺が引き起こされます。
中枢性顔面神経麻痺は、単麻痺、片麻痺、交代制片麻痺といった症状で現れます。
脳卒中の発作後、または後遺症として、しばしば身体に運動麻痺が起こるのは、大脳皮質に局在する運動中枢が障害を受けるためです。
運動の中枢が損傷してしまうと、障害を受けた反対側(右脳損傷の場合は左体側、左脳の場合は右体側)が運動麻痺(片麻痺)になってしまいます。
脳腫瘍は、脳内に生じた腫瘤の総症で、良性のものと悪性のものとに分類できますが、どちらにしても、脳に大きなダメージを与えるので、脳卒中と同じように片麻痺を招く場合があります。
脳炎は、ほとんどはウイルス感染によって脳が炎症を起こす病気で、同様に片麻痺を招く場合がみられます。
通常、顔面神経麻痺では、中枢性や末梢性などの原因分類に基づいて、原因障害を取り除くとともに、薬物での保存的治療が行われますが、顔面末梢神経そのものが切断されているような場合は、形成外科的な再建手術による治療法がよくとられます。
すなわち、形成外科的手術により、神経自体を修復する手術や麻痺による後遺症が残ってしまっている顔面の再建形成手術を行ない、薬物などによる保存的治療や麻痺に対するリハビリテーションを併用する治療方法です。
この施術は、顔面神経麻痺の発症以降の経過した時間や障害の程度によってとられる方法が異なり、一般的には、発症後の経過時間が長いほど、再建手術は難しく高度になっていきます。
顔面神経麻痺発症後の経過が長くなく、顔面表情筋の状態が良好(変性・萎縮などの程度が著しくない)な場合は、神経縫合、神経移植、顔面交叉神経移植などによって直接的な再建手術がよくおこなわれます。
また、麻痺発症後の経過が長く(1-2年以上)、神経縫合や神経移植などの顔面神経自体を修復することが難しい場合、神経、筋などの組織移植を行うなど、高度な形成外科的手術がよく実施されます。
方式としては、静的再建手術と動的再建手術があり、静的再建手術は安静時の顔の歪みを改善させる方法であるのに対して、動的再建手術は表情運動も改善させようという方法です。
静的再建手術と動的再建手術はいずれも、高度な形成外科的技術が要求され、手技が生かされる分野です。
ビートたけしのバイク事故後の顔面神経麻痺を記憶に留めている方も多いと思います。
ビートたけしは、1994年8月2日午前1時40分。東京都新宿区の都道で飲酒運転での原付バイク事故を起こしました。
その前後の個人的なことについてもいろいろ報道されていますが、それらに関しては割愛します。
事故による入院生活などで半年間テレビへの出演が出来ず、退院時、しばらくは顔面の半分が麻痺した状態で、いわゆる顔面神経麻痺状態のようでした。
リハビリテーション治療により回復したとのことですが、復帰当時は「顔面麻痺が治らなかったら芸名を顔面マヒナスターズにします」と自らの怪我をネタにしており、ある意味、相当程度の麻痺だったように思われます。
この事故で生死の境を彷徨っていた時、ビートたけしの夢の中に既に亡くなっていた逸見政孝が出てきたというような話をされています。
ビートたけしは、「あれは、まだ俺が死んじゃいけない。って逸見さんが言いに来てくれたんだろうな」と、退院後のインタビューで答えたそうで、麻痺以外の怪我もかなり危ない状態であったと推測されます。
顔面神経麻痺については、ビートたけし及びスタッフの闘病記とも言える『顔面麻痺』によると、事故では右まゆ辺りから下の顔面に障害を負ったとのことであり、脳機能的には全く障害が見られなかったようです。
また、バイク事故直後にあえて顔面麻痺状態で会見に臨んだことに関しては高い評価がなされています。
鍼灸治療は、本来人間が持っている自然治癒力を活性化し、ホメオスタシスを働かせることにより、病気を治療する治療方法です。
また、薬を使わないので、副作用の心配がほとんどないことも特徴的といえます。
すなわち、副作用や痛みを伴うステロイド剤の点滴や星状神経節ブロック注射などを使用せず顔面神経麻痺を治療することができるわけです。
顔面神経麻痺は中国医学では「口僻」や「口眼歪斜」と呼ばれており、原因と病理は正気不足によって脈絡が空虚になり、外表を防衛できなくなるため風邪が虚に乗じて顔面の支配をつかさどる主な脈絡に侵入して起こると説明されています。
すなわち、不摂生、睡眠不足などが続いた場合に、そのしわ寄せが顔面の神経・筋に悪影響を及ぼし、麻痺させてしまうということのようです。
顔面神経麻痺における鍼灸治療では温灸を使い、それによって身体の中の邪気を取り除き、経絡を活性化し、血気の通りをよくし、その効果によって麻痺していた神経は徐々に回復してきます。
鍼灸を使うツボは手、足、顔など人によって様々ですが神経支配が失われた筋肉繊維に新たな神経支配をもたらし、それによって神経の働きが回復することが多くの臨床報告によって実証されているとのことです。
鍼灸マッサージでの刺激は血行を良くし、表情筋の強ばりを防ぐのに効果があり、首筋から肩にかけてコリが強い場合は同時に治療していくと心身ともにリラックスし、より効果的です。
また、鍼灸マッサージを使うことで治癒率を高め、短期間で回復させて後遺症を防ぐことが期待できます。